相続税を減らしたい!どんな対策をすればいい?
近年相続税法が改正され、相続税を課される人の範囲が広がりました。
税金はできれば誰もが払いたくないものです。相続税法が改正されたときには多くの人が節税のために相続税関連セミナーに足を運んだとされています。
相続税は税務調査が厳しいため、素人判断で相続税対策をすると脱税を指摘されることがあります。
ここでは、一般人でも比較点手軽に実行可能な相続税対策をご紹介します。
毎年贈与を行う
いわゆる『生前贈与』を行うことで相続税の額を安くすることが可能です。
単なる思いつきで贈与をしても相続税が安くならないケースがあるので、以下の点に気をつけてください。
(1)年間110万円以内の贈与を行う
贈与税は「贈与された側」が支払う税金です。年間に貰った贈与の額が110万円以内であれば非課税となります。
これを利用し、親から子や孫に毎年110万円以下の贈与をしていけば、贈与税の支払いを回避しながら相続財産を減らせるので、相続税が安くなります。
贈与は早く行う方が相続税対策として効果があります。5年間毎年贈与を行えば、相続税評価額を最大で550万円減らせますし、10年間継続すれば、1100万円分の節税効果を得られるのです。
なお、子が2人いる場合は110万円×2人=220万円まで贈与ができます。
(2)毎年違う額を、時期をズラして贈与する
毎年同じ額を同じ時期に贈与していると、税務署から「暦年贈与」だと認定されてしまうことがあります 「暦年贈与」とは、複数年の贈与を一括贈与として扱い、贈与税を課す方式です。
例えば毎年110万円を10年間贈与し続けた場合、「当初から1100万円を贈与する予定だった」と税務署が判断し、1100万円から基礎控除の110万円を除いた990万円に対して贈与税を課します。贈与税の支払いが発生してしまうため、コツコツ贈与した節税効果がなくなってしまうのです。
暦年贈与と認定されないためには、毎年違う額を違う時期に振り込むのが良いでしょう。100万円、110万円、98万円などと額をバラすことで、暦年贈与と認定される可能性を低くできます。
また、現金を手渡しするよりも、銀行振込にした方が日付がわかりやすいのでオススメです。
毎年の贈与を行う度に、「贈与契約書」を作成して保管しておけば、暦年贈与の可能性をさらに否定しやすくなります。
教育資金贈与を活用
贈与税対策で毎年110万円ずつ贈与するのを面倒だと思う人もいるでしょう。
また、贈与したお金を遊興費として浪費されたくない人も多いと思います。
そういった場合には、一括で贈与しても非課税となる「教育資金贈与」を上手く使ってください。
(1)教育資金贈与とは
金融機関のサービスである「教育資金贈与信託」を利用して、子または孫に教育費を一括贈与することを「教育資金贈与」と言います。
贈与の範囲は1500万円とされており、この範囲内であれば贈与税が全額免除されます。相続財産自体も目減りするので、相続税の節税対策としても効果的です。
教育資金贈与は主に祖父母から孫への贈与に活用されており、教育にお金のかかる世代の孫がいる世帯には有効な節税方法として人気があります。
(2)使途は教育のみ
贈与後の資金の使途が教育に限定されるので、生前贈与を受けた側の浪費を防ぐことができます。
(3)塾や予備校などの教育費に使ってもOK
贈与後の資金の使途が教育に限定されるので、生前贈与を受けた側の浪費を防ぐことができます。
教育資金贈与では、「学校教育費」に対して1500万円まで非課税となります。医学部や薬学部、獣医学部など在籍期間の長い大学を目指す子や孫に最適です。
学校関係以外の教育にも教育資金贈与を使うことが可能ですが、塾・予備校・習い事といった教育についての非課税枠は500万円までとなっています。
生命保険を活用
生命保険も正しく使えば節税効果があります。高齢で生命保険への加入を諦めている人がいるかもしれませんが、最近では相続税対策用に高齢者が健康診断不要で加入できる商品も出ているので安心してください。
(1)生命保険の非課税枠を利用する
相続後に支払われる死亡保険金に関しては、「500万円×法定相続人の人数」分の相続税が非課税となります。この非課税枠をフルに活用できるように生命保険に加入すると、節税効果がアップします。
例えば生命保険に入ったAさんが死亡し、妻のBさんと子のCさんとDさんが相続する場合、500万円×3人=1500万円分の相続税が非課税になります。仮にBさん、Cさん、Dさんのうち1人だけが保険金を受け取る場合でも、1500万円分の節税が可能となるのです。
(2)一時払い終身保険を利用する
「一時払い終身保険」というタイプの保険は、保険料さえ支払えばその時点で契約した保険金の額が保証されます。元本割れする可能性がないので、相続税対策として非常に使い勝手が良い商品です。
まとめ
相続税対策には他にも不動産を活用する方法や養子縁組を使うものがありますが、本記事では比較的容易にできる相続税対策を記載しました。
ただし、税関係の法律は改正が多く、頻繁に制度が変わってしまいます。少しでも不安な点がある場合は、税理士に相談してください。個々の事情に最適な節税方法を提案してくれるでしょう。