相続時の名義変更手続きを確認!
不動産の名義変更手続きは複雑なものとなっています。しかし、事前の準備次第で名義変更の手続きをスムーズに行うことも可能です。相続時に慌ててしまうことの無いように、不動産の名義変更手続きについて確認しておきましょう。
必要な書類
相続を原因とする所有権の移転登記には様々な書類が必要となります。
それら全てが適切に揃えられていなければ申請は受理されません
(1)登記申請書
申請書は法務局のホームページからダウンロードすることができます。同様に記載例もダウンロード可能なため、記載例を参照しながら必要事項を記載してください。
様式に沿ってさえいれば、申請書の様式から記載内容までの全てを手書き作成しても問題ありません。
しかし、申請書の記載内容は遺言書や遺産分割等の事情によって多少異なります。申請書の作成前には必ず記載例を確認しておくようにしてください。
その他、特に注意を要する事項としては以下の点があります。
- 申請書はA4サイズで上質紙等長期保存可能な用紙を選ぶ。
- 鉛筆など、簡単に消してしまえるものによる記入は不可。印刷やボールペン等簡単に消えない方法で記入する。
- 提出時は他の添付情報と共に左とじにする。
(2)登記原因証明情報
相続により所有権が移転したということを証明する書類をまとめて登記原因証明情報といいます。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までを証する書類や、遺言書等がこれに当たります。
必ず必要となる書類
下の表にある書類は登記原因証明情報として必ず必要となります。被相続人に関する書類は死亡から出生まで連続したものとなるよう揃えてください。場合によっては遠隔地まで取りに行くことにもなります。
必要な書類 | 誰の書類か |
戸籍謄本 | 被相続人 |
除籍謄本 | 被相続人 |
改製原戸籍 | 被相続人 |
住民票の除票または戸籍の附表 | 被相続人 |
戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本) | 相続人全員 |
場合により必要な書類
必須ではありませんが、場合により以下の書類が必要です。
必要な書類 | 必要な場合 | 誰の書類か |
遺産分割協議書 | 遺産分割協議を行った場合 | 相続人全員 |
印鑑証明書 | 遺産分割協議を行った場合 | 相続人全員 |
遺言書 | 遺言書が存在する場合 | 被相続人 |
相続放棄申述受理証明書 | 相続放棄した相続人が存在する場合 | 放棄した相続人 |
遺産分割協議書には相続人全員が押印してください。印鑑証明書は押印した印鑑全ての印鑑証明書が必要となります。遺言書は公正証書遺言を除き、必ず開封前に家庭裁判所の検認を受けてください。管轄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。また、相続放棄申述受理証明書は家庭裁判所に申請することにより交付されます。相続放棄申述受理通知書で代用はできないことに注意してください。
(3)住所証明情報(個人番号が記載されていもの)
不動産を相続することになった相続人の住民票の写しです。個人番号(マイナンバー)の記載がないものを添付するようにしてください。なお、申請書に住民票コードを記載した場合は必要ありません。
(4)委任状
相続人全員で申請する場合を除き、申請者以外の相続人から委任状を受け取ることが必要となります。認印で構わないのですが、押印が必要です。
(5)固定資産税評価証明書
戸籍等と同じく役場で取得できます。申請書に記入する課税価格は固定資産税評価証明書に記された評価額となります。また、納付する登録免許税の金額は固定資産税評価証明書に記された評価額を元に算出されます。そのため、必ず最新の証明書を取得する様にしてください。
(6)相続関係説明図
被相続人の相続関係をまとめた書類です。相続関係説明図があると添付した戸籍等を返してもらうことができます。必須ではないため、戸籍等を返却してほしい場合にのみ作成してください。
登録免許税の納付方法
固定資産税評価証明書に記載されている評価額の1000分の4となる金額を登録免許税として納付します。その際、評価額にある1000円未満の数字は切り捨てて計算します。また、計算後の金額に100円未満の数字があればそちらも切り捨てます。
登録免許税の納付方法には、現金で納付する方法と収入印紙で納付する方法の2パターンが存在します。
現金納付の場合
申請前に金融機関(どこでもよい)の窓口で支払います。そこで交付された領収書を、申請書の余白に貼り付けます。余白がなければ新たに白紙を用意して貼り付け、申請書にとじ込みます。この場合、申請書との綴り目に申請人が契印してください。
収入印紙の場合
収入印紙で納付する場合も基本は同じです。ただ、収入印紙の場合は法務局でも購入することができるため、収入印紙で納付するほうが便利であると言えます。
法務局へ申請する
申請は名義変更の対象となる不動産の住所地を管轄する法務局へ申請します。その他の法務局へ申請することはできません。申請の方法には窓口へ直接申請書を提出する他、郵送やオンラインによる申請も認められています。
また、法務局には相談窓口が設置されているため、実際に申請書を提出する前に相談や確認をお願いしておくと良いでしょう。電話での相談にも対応しています。
4まとめ
名義変更手続きは複雑ですが、事前の準備と確認次第でスムーズに行うことができます。しかし、場合によっては申請が難しいこともあります。自力で申請することが難しいと感じたら少しでも早めに専門家へ相談するようにしてください。