投資用マンションを相続する際の注意点・税制改正についても解説

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投資用マンション 相続

相続発生時「親の所有していた投資用マンションを引き継ぐが、本当に節税効果があるのだろうか?」「ルールが改正されているので増税されるかも」と、不安を抱く方々は多いことでしょう。

投資用マンションを相続すれば、確かに節税効果を期待できます。

ただし、2024年1月に、いわゆるタワーマンション節税への対応として、居住用の区分所有財産の相続税評価ルールが見直されたので注意は必要です。

この記事では、投資用マンションの相続税評価額に関するメリット、相続する場合の手順について解説します。

投資用マンションの相続税評価額に関するメリット

投資用マンション(不動産)は賃貸中であれば、相続税評価額を下げる効果が得られます。

相続税評価額が下がれば、その分相続税の負担が軽減されます。

どのくらいの減税になるのかみてみましょう。

(1)投資用マンションの建物自体の減税効果

賃貸中の投資用マンション(建物)の評価額は、「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」で計算します(借家権割合は原則30%)

以下の例では1,200万円もの減税効果が得られます。

(例)賃貸している投資用マンション(固定資産評価額4,000万円)を相続した。

  • 借家権割合(住宅に対する権利):30%
  • 賃貸割合(実際に貸出している程度示す割合):100%

固定資産税評価額4,000万円×(1-借家権割合30%×賃貸割合100%)=相続税評価額2,800万円

(2)投資用マンションの土地に関する減税効果

賃貸中の投資用マンションの土地評価額は、「自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算します(借家権割合は原則30%)

以下の例では1,050万円もの減税効果が得られます。

(例)自用地(賃貸をせず所有者自身が使用する土地)評価額5,000万円の貸家建付地を相続した。

  • 借地権割合(土地に対する権利):70%
  • 借家権割合(住宅に対する権利):30%
  • 賃貸割合(実際に貸出している程度示す割合):100%

自用地評価額5,000万円-(自用地評価額5,000万円×借地権割合70%×借家権割合30%×賃貸割合100%)=相続税評価額3,950万円

(3)小規模宅地等の特例適用でさらなる減税も見込める

小規模宅地等の特例とは、土地を相続するとき一定の要件を満たしていれば、相続税評価額を大幅に減額できる特例です

賃貸中の投資用マンションの敷地は、一定の要件を満たせば「貸付事業用宅地等」として本特例の対象となり、200㎡までの部分について評価額を50%減額できます。

ただし、以下の制限があるので注意しましょう

  • 原則として、相続開始前3年以内に新しく賃貸や投資へ利用されたマンションではない
  • 減額対象は限度面積200㎡までの部分

なお、小規模宅地等の特例は条件を満たしたからといって、自動的に適用されるわけではありません。

手続きは税務署への相続税の申告時、相続税申告書に必要事項を記入して申告します。

投資用マンションを相続する場合の手順

投資用マンションを相続する際の流れについて説明します。

(1)遺言書の確認または遺産分割協議を行う

被相続人の所有していた投資用マンションを誰が相続するのかを決定します

まずは被相続人が作成した遺言書を探し、誰が相続するのかを確認しましょう。

遺言書が見つからない場合、相続人全員で遺産分割協議を開き、誰が相続するのかを話し合います。

投資用マンション等に関する協議がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印(実印が好ましい)します。

(2)投資用マンションの管理会社に通知

投資用マンションの相続人(貸主)が確定したら、速やかに管理会社へ新たな連絡先を伝えましょう

管理会社は貸主の変更を受けて、「賃貸人変更通知書」を借主に通知するのが一般的です。

ただし、管理会社を利用していない場合、主に貸主が次の対応を行います。

  • 相続登記後に借主へ貸主が変わった旨、家賃の振込口座の連絡
  • 借主の修繕依頼や、解約の申出の対応

(3)ローンの有無を確認

投資用マンションのローンを完済しているか否かを確認しましょう

仮に返済中であったとしても、被相続人が団体信用保険(団信)に加入していた場合、相続発生後、被相続人の契約していた生命保険から金融機関に残高相当分が支払われます。

つまり、投資用マンションの相続人はローン(債務)を相続しなくても済むわけです。

そのため、相続が発生したら速やかに金融機関へ報告しましょう。

ただし、被相続人が団体信用保険に加入しておらず、ローンが残っている場合、相続人は被相続人のローンを返済していかなければいけません

そのため、投資用マンションを相続する前に、ローンの有無を確認し、返済が多額となる場合は相続放棄を検討してみましょう。

(4)投資用マンションの相続登記

相続人が決まったら投資用マンションの名義変更も必要です

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続したことを知った日から原則として3年以内に申請する必要があります。

投資用マンションの所在地を管轄する法務局に、登記申請書等を提出し、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)を支払います。

法務局による審査後、「登記識別情報通知」を受領できれば手続き完了です。

(5)準確定申告の実施

被相続人に投資用マンションの賃料収入等の所得があった場合、相続開始の事実を知った日の翌日から4ヵ月以内に、準確定申告をしましょう

準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の1月1日〜亡くなった日までの所得の確定申告です。

準確定申告を行う場合は、各相続人等が連署し、準確定申告書等を被相続人の死亡当時の納税地にある税務署へ提出します。

(6)相続税申告

相続開始の事実を知った日の翌日から10ヵ月以内に、相続税の申告・納税が必要です

被相続人の死亡当時の納税地の税務署へ、相続税申告書等を提出します。

ただし、課税価格の合計額(正味の遺産額)が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内に収まれば、相続税の申告・納付は不要です。

投資用マンションを相続するときの注意点

投資用マンションを相続するとき、主に次の3つの点に注意しましょう。

  • 投資用マンションの相続税評価の新ルール
  • 遺産分割が難しい
  • 投資用マンションの維持管理

それぞれの注意点について詳しく説明します。

(1)投資用マンションの相続税評価の新ルールに注意

タワーマンションなどの居住用の区分所有財産を相続しても、以前のように大幅な節税効果は期待できない可能性があります。

ルール改正前、タワーマンションの相続税評価額は市場価格の3〜4割程度であり、戸建て住宅の相続税評価額(市場価格の6割程度)と比較しても、大きな節税が可能でした。

しかし、2024年1月に居住用の区分所有財産の節税ルールが改正されました。

マンションの相続税評価額と市場価格との乖離が大きい場合、一定の計算式により、評価水準が市場価格の60%程度を下回らないよう補正されます。

以前と同じように減税されない可能性があるので注意しましょう

参考:居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)

(2)遺産分割が難しい点に注意

投資用マンションは不動産なので、現金(金融資産)のように、各相続人へ公平に分割できません

誰が相続するかを巡り、相続人の間でトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

相続人がなかなか決まらないときは、複数の相続人で共有する方法があります。

ただし、複数人で共有すると権利関係が複雑になる他、売却する場合は共有者全員の同意を要するので、処分が難しくなる点に注意しましょう。

(3)投資用マンションの維持管理に注意

修繕積立金・固定資産税等の維持管理費がかかる点にも注意しましょう

投資用マンションの貸主は、借主の居住状況に関わらず、管理費・修繕積立金等の支払い(自主管理物件を除く)が必要です。

かかる管理費・修繕積立金等は、概ね毎月数万円程度の負担が目安となります。

その他、投資用マンションの所有だけでも、固定資産税等を毎年納税する必要があります。

例えば固定資産税は原則として「固定資産税評価額の1.4%」なので、固定資産税評価額が3,000万円のマンションの場合、納付する固定資産税は42万円(3,000万円×1.4%)です。

投資用マンションへの対応方法

投資用マンションの相続に関して負担が大きい場合や、相続人の間でトラブルが発生した場合、次の3つの対応を検討してみましょう。

  • 売却を検討する
  • 遺産分割調停・審判で解決する
  • 相続放棄を検討する

それぞれの対応方法について説明します。

(1)売却を検討する

被相続人の所有していた投資用マンションが以下のような状況の場合、売却を検討しましょう。

  • 投資用マンションの相続人が決まらない
  • 投資用マンションの分割で揉めている
  • 相続税用資金が足りていない
  • 賃料収入が見込めない(空室が多い)
  • 投資用マンションは築20年以上経過している(大規模修繕工事を必要とする可能性があるため)

不動産会社と相談し売却手続きを進め、現金化できたなら、複数の相続人がいても遺産を公平に分けられ、投資用マンションに関する費用負担からも解放されます。

(2)遺産分割調停・審判で解決する

投資用マンション相続で複数の相続人との遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で解決を目指す方法もあります

申立ては、相手方のうち一人の住所地または当事者が合意で定めた家庭裁判所に行い、申立書等を提出しましょう。

遺産分割調停では調停委員が紛争当事者の間に立ち、アドバイスや調整を図ります。

紛争当事者が和解すれば「調停調書」を作成し、和解できなかったときは遺産分割審判へ自動的に移行、裁判官が判断を下します。

(3)相続放棄を検討する

「投資用マンションのローンが残っていて多額の返済に追われそうだ」「事前に相続争いを避けたい」などと考えている場合、相続放棄を検討しましょう。

相続放棄とは遺産を一切受け取らず、被相続人の債務も返済しない方法です。

ただし、相続の開始があった事実を知った時から3カ月以内に、家庭裁判所へ放棄する旨を申述する必要があります(民法第915条)。

また、相続放棄をしたら自分より後順位の親族が相続人になる可能性もあります。

前もって相続放棄する旨を他の親族等に周知しておかなければ、相続人に繰り上がった人との間でトラブルとなるおそれもあるでしょう。

まとめ

投資用マンションを相続すれば、減税効果による相続税の負担軽減が可能です。

その一方で、他の相続人との間で思わぬトラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。

トラブルが発生し、相続人だけの力で解決できそうになければ、相続に詳しい弁護士へ相談してみましょう。

弁護士は法律知識の他に、豊富な相続手続きに関する経験を活かし、有益なアドバイスを提供します。

また、弁護士を代理人にすれば紛争相手と交渉し和解できる可能性があります。

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